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一般社団法人を使った相続税の節税スキームの封じ込め策【与党税制改正大綱H29.12.14】

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一般社団法人を使った相続税の節税スキームの封じ込め策【与党税制改正大綱H29.12.14】

 平成30年度与党税制改正大綱が公表され、一般社団法人等を使った相続税の
節税スキームの封じ込め策がほぼ判明しました。

 これによって、被害を被る(予想していなかった相続税等を支払う)納税者
が必ず出てきます。
 コンサルタントは必ず「現在の税制に基づくスキームであること」、「今後
税制が改正される可能性があること」等を説明し、さらに文書でも同様の取り
交わしをしているのでしょうが、それでもコンサルタントが十分な説明をして
おらず納税者が理解していないケースもあるでしょう。
 そのような場合は「聞いていなかった」「十分に説明されていない」などと
裁判沙汰にもなるのではないでしょうか。

 また、今回の改正で100%の封じ込めはしていないようです。
 私にも職業倫理観はありますので、このような案件に今までも今後も関わる
ことはありませんが、単純なスキームでもあり、若干の手直しをして、今後も
利用されていくのではないでしょうか。
 そしてまた封じ込め策が採られ・・・イタチごっこです。

以下、平成30年度与党税制改正大綱の該当部分の全文を転載します。

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【一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し】P.48~P.49

(1)一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の課税の見直し

 個人から一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人等、非営利型法人
その他一定の法人を除く。以下「一般社団法人等」という。)に対して財産
の贈与等があった場合の贈与税等の課税については、贈与税等の負担が不当
に減少する結果とならないものとされる現行の要件(役員等に占める親族等
の割合が3分の1以下である旨の定款の定めがあること等)のうちいずれか
を満たさない場合に贈与税等が課税されることとし、規定を明確化する。
(注)上記の改正は、平成 30 年4月1日以後に贈与又は遺贈により取得す
る財産に係る贈与税又は相続税について適用する。

(2)特定の一般社団法人等に対する相続税の課税

①特定一般社団法人等の役員(理事に限る。以下同じ。)である者(相続開
始前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の役員であった者
を含む。)が死亡した場合には、当該特定一般社団法人等が、当該特定一般
社団法人等の純資産額をその死亡の時における同族役員(被相続人を含む。)
の数で除して計算した金額に相当する金額を当該被相続人から遺贈により取
得したものとみなして、当該特定一般社団法人等に相続税を課税することと
する。

②①により特定一般社団法人等に相続税が課税される場合には、その相続税
の額から、贈与等により取得した財産について既に当該特定一般社団法人等
に課税された贈与税等の額を控除する。

③ その他所要の措置を講ずる。

(注1)上記の「特定一般社団法人等」とは、次に掲げる要件のいずれかを
満たす一般社団法人等をいう。
①相続開始の直前における同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を
超えること。
②相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数に占める割合が2分
の1を超える期間の合計が3年以上であること。

(注2)上記の「同族役員」とは、一般社団法人等の理事のうち、被相続人、
その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊の関係がある者
(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)をいう。

(注3)上記の改正は、平成 30 年4月1日以後の一般社団法人等の役員
の死亡に係る相続税について適用する。ただし、同日前に設立された一般社
団法人等については、平成 33 年4月1日以後の当該一般社団法人等の役員
の死亡に係る相続税について適用し、平成 30 年3月 31 日以前の期間は
上記(注1)②の2分の1を超える期間に該当しないものとする。
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       以上 公認会計士・税理士 居関 剛一

平成30年度与党税制改正大綱_20171214.pdf

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