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R3税制改正_公益法人特有の論点【国税庁、財務省】

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R3税制改正_公益法人特有の論点【国税庁、財務省】

国税庁の【令和3年度法人税関係法令の改正の概要】です。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2021/01.htm

うち、以下、公益法人特有の論点部分を抜粋します。
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①特定公益増進法人等に対する寄附金について、その対象となる寄附金から出資に関する業務に充てられることが明らかな寄附金が除外されました。

②収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額を収益事業に係る寄附金の額とみなす制度の対象から、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額が除外されました。
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上記の解説です。
【財務省 令和3年度税制改正の解説】
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2021/explanation/index.html
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① 特定公益増進法人に対する寄附金の特別損金算入限度額の見直し
 特別損金算入限度額の計算の対象となる寄附金から出資に関する業務に充てられることが明らかなものが除外されました(法法37④)。
 出資業務に充当することを目的とした寄附は、その出資先の法人及びその関係者により行われることが容易に想定され、その寄附金を原資とした出資が行われることによりその寄附者が利益を受ける可能性があり、税制の公平性の観点から問題のあるものです。このような考えから、指定寄附金(法法37③二)についても、国立大学法人又は公立大学法人の行う大学等における技術に関する研究の成果の活用を促進する事業を実施する者(具体的には、技術移転機関(TLO))に対する出資業務に充てられることを目的とする寄附については、対象から除外されているところです。
 特定公益増進法人に対する寄附金については、特定公益増進法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(国又は地方公共団体に対する寄附金及び指定寄附金を除きます。)が特別損金算入限度額の計算の対象とされており、出資に関する業務への寄附についても「主たる目的である業務に関連する寄附」であればその対象となるため、上記と同様の問題が生ずるところ、近年では、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正により研究成果の活用を促進する事業を実施する者等に対する出資を行うことができる研究開発法人が27法人に拡大し、また、地方独立行政法人法の改正により試験研究地方独立行政法人も研究成果の活用を促進する事業を実施する者等に対する出資を行うことができるようになるなど、出資に関する業務を行うことが可能な特定公益増進法人が増加しているところです。
 このような状況を踏まえ、特定公益増進法人に対する寄附金のうち出資に関する業務に充てられることが明らかな寄附金については、特別損金算入限度額の計算の対象外とすることとされました。
 具体的には、使途を出資に関する業務に限定して募集された寄附金や出資に関する業務に使途を指定して行う寄附金などは、「出資に関する業務に充てられることが明らかな寄附金」に該当するものと考えられます。一方で、出資に関する業務に充てられるかどうかが寄附時点で不明確なものについては、今回の改正の対象外と考えられます。
 なお、この改正に伴い、特別損金算入限度額の適用を受けるために保存することとされる書類(寄附を受けた法人が特定公益増進法人に該当する旨の書類を除きます。)について、その寄附金が特定公益増進法人の主たる目的である業務に関連する法人税法第37条第4項に規定する寄附金である旨のその特定公益増進法人が証する書類とされました(法規24)。すなわち、その寄附金が主たる目的である業務に関連するものであることのほか、その寄附金が対象から除外される「出資に関する業務に充てられることが明らかな寄附金」でないことを証する書類の保存が必要となります。

② みなし寄附金制度の見直し
 事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、みなし寄附金制度(上記⑴③)を適用しないこととされました(法法37⑤ただし書)。
 公益法人等が、収益事業に係る収入を収益事業以外の事業に係る収入に仮装して経理すること等の不正行為により課税所得を過少に計上していた場合には、その経理した金額は、外形的には収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額となるため、事後に修正申告又は更正があった場合においてみなし寄附金制度が適用され得るところ、このような不正行為の場合にみなし寄附金制度を適用することは、収益事業から得られた利益の一部が公益性の認められる事業に充てられることへの配慮から設けられた本制度の趣旨を逸脱しており、適正公平な課税を妨げる誘因となり得ると考えられることから、これを不適用とするものです。
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実務上、②はほとんどの公益法人に無関係です。
①については、「出資に関する業務に充てられることが明らかな寄附金」でないことを証する書類の保存が必要となります、と記載されていますが、
内閣府の「特定公益増進法人に対する寄附に係る証明書類等について R3.3.30」
には以下の記載があります。
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令和3年4月1日以後は、各特定公益増進法人において、受け入れた寄附が主目的業務に関連する寄附であるかどうかの確認のほか、その寄附が以下のような寄附金ではないかどうかを確認のうえ、証明書を寄附者に交付すること。
・寄附金の使途を出資業務に限定して募集された寄附金
・出資業務に使途を指定して行われた寄附金
※確認の具体的な実務としては、例えば、寄附を募集するチラシやHP等で出資業務に充てることを示していないことや寄附者から寄附の使途を出資業務に充てることと指定されていないことを確認することを想定しています。
※証明書への記載例:
「特定公益増進法人の主たる目的である業務に関連する所得税法第78条第2項第3号又は法人税法第37条第4項に規定する寄附金である」
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つまり、寄附金の「但し書き」は従前と変わりないようです。

 以上 公認会計士・税理士 居関 剛一

国税庁_R3法人税関係法令の改正概要_Ⅴその他.pdf

財務省_R3税制改正解説_法人税法等改正.pdf

内閣府_特増に対する寄附金証明書類等_20210330.pdf

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